PUとエポキシは、どちらもシリコーンゴムキーパッドの保護や加飾に使用できますが、化学系統だけで一方の耐久性が優れているとはいえません。結果は、実際の配合、コーティング範囲、塗膜厚、シリコーン表面の前処理、キー形状、洗浄剤、摩耗の経路、光学要件、硬化工程によって変わります。
押すたびに屈曲するキーでは、承認されたPU候補と承認されたエポキシ候補を、同じ条件で比較してください。ポリウレタンの配合では、光沢、柔軟性、触感を幅広く調整できます。一方、エポキシ系も配合や強靱化によって柔軟性を持たせることができます。したがって、樹脂系統の名称だけでは寿命の等級を判断できません。1 2
- 1. コーティング範囲と仕上げの目的を定義する
- 2. 表面の触感と外観を比較する
- 3. 形状と工程の適合性を確認する
- 平板試験片だけでなく、屈曲する実際の形状で試験する
- シリコーンとコーティングの界面を管理する
- 4. 同一条件でPUとエポキシの適合性を評価する比較表を使う
- 5. 相互作用が分かる順序で摩耗と薬品曝露を試験する
- 6. 限度見本で承認済みの仕上げを確認する
- よくある質問
- シリコーンゴムキーパッドでは、PUは常にエポキシより優れていますか?
- エポキシコーティングは常に硬くてもろいのですか?
- コーティングによってキーパッドの触感や操作力は変わりますか?
- 耐薬品性の一覧表だけで選定できますか?
- バックライト付きキーパッドには、どちらのコーティングが適していますか?
- エポキシのキートップは、プラスチック製キーキャップと同じですか?
- キーパッドの図柄データと仕上げをレビューする
1. コーティング範囲と仕上げの目的を定義する
まず、表面層に求める機能と、その層を設ける位置を定義します。一般的な構成には、印刷またはレーザー加工した図柄の上に設ける透明保護トップコート、顔料を含む着色層、キー全体を覆う透明仕上げ、キートップの局所的な盛り上げ樹脂層、摩耗の激しいキーだけに施す仕上げなどがあります。
これらは同等ではありません。レーザーで塗膜を除去して形成した表示の上にある薄い透明コートと、局所的な厚い樹脂ドームでは、受けるひずみの状態が異なります。図面には、コーティングが平らな上面だけにとどまるのか、R部をまたぐのか、側壁まで続くのか、成形された薄肉可動部(ウェブ)の近くまで達するのかを示す必要があります。
また、エポキシコーティングされたキートップとプラスチック製キーキャップは区別してください。エポキシはシリコーン表面に塗布し、硬化させて形成する樹脂部です。プラスチック製キーキャップは独立した成形部品であり、固定、はめあい、金型、荷重伝達経路を別途検討する必要があります。
キーパッド全体の構成については、JASPERのカスタムシリコーンゴムキーパッドのページをご覧ください。
2. 表面の触感と外観を比較する
樹脂名だけではなく、観察できる特徴で仕上げを指定します。
- つや消し、半つや、光沢。
- 滑らか、さらさら、ソフトタッチ、または滑らせたときの抵抗が小さい触感。
- 許容できる指の滑り抵抗、または付着と滑りが交互に起こるスティックスリップ。
- キートップの局所的なコーティング周囲に生じる段差の高さ。
- 傷や指紋の目立ちやすさ。
- 昼間と夜間の外観。
PUコーティングは、ソフトタッチ仕上げを含め、光沢、柔軟性、触感、密着性を調整するように配合できます。そのため、柔軟な表面や狙った触感が重要な場合に検討されます。ただし、一般的なPUならどれでもシリコーンゴムに密着し、キーパッドの屈曲・洗浄要件を満たすという意味ではありません。
エポキシ系も一様ではありません。硬化剤の選択によって柔軟性、密着性、耐薬品性が変わり、柔軟なエポキシ配合も存在します。これらの配合上の可能性だけでは、キーパッド用途への適合性は確認できません。エポキシを単一の硬さや耐久性として扱えない理由として理解してください。
重要なのは、どの具体的な配合が、屈曲、清掃、摩耗の後も承認された触感と外観を維持するかという点です。
3. 形状と工程の適合性を確認する
平板試験片だけでなく、屈曲する実際の形状で試験する
シリコーンキーは、動作するエラストマー部品です。キートップが移動し、側壁が曲がり、薄肉可動部が繰り返し変形します。平板上では耐えられるコーティングでも、R部ではひび割れや浮きが生じる可能性があります。
ASTM D522/D522Mは、基材に付着した有機塗膜の曲げによるひび割れを評価し、その適用範囲にゴム系材料も含むため、柔軟性を検討する際の参考になります。3 コーティング系のスクリーニングには使用できますが、量産仕様を想定したキーパッドの繰り返し試験の代わりにはなりません。
平板の同時処理試験片は、光沢、色、塗膜厚の測定に引き続き役立ちます。成形キーと一緒に処理し、試験片のデータだけで実際の形状の評価を置き換えないようにしてください。
シリコーンとコーティングの界面を管理する
有用な比較を行うには、比較対象とする候補系を除いて、表面の積層構成全体を一定に保ちます。次の項目を記録してください。
- 成形シリコーンと、その硬化/ポストキュアの状態。
- 洗浄と汚染管理。
- 表面処理および/またはプライマー。
- 着色層またはマスキング層。
- 印刷による表示、またはレーザーで塗膜を除去して形成した表示。
- PUまたはエポキシの保護層。
- 最終硬化と状態調節。
レーザー加工シリコーンゴムキーパッドの構成は、保護仕上げと合わせて検討する必要があります。樹脂の化学系統を変えると同時に、プライマー、洗浄、下塗り層、硬化条件まで変更すると、結果を解釈しにくくなります。
硬化温度、溶剤や反応性成分と下層との接触、レーザー加工端部でのぬれ、気泡、塗料だまり、マスキング端部、半透明層や遮光層への影響も確認してください。
4. 同一条件でPUとエポキシの適合性を評価する比較表を使う
次の表は、工学的な評価の枠組みであり、JASPERの試験データではありません。プロジェクト固有の二つの候補を想定しています。
- PU候補: 柔軟な脂肪族PUの透明トップコート。
- エポキシ候補: 柔軟型または強靱化型の透明エポキシ系。
実際のグレード、プライマー、塗膜厚、硬化条件、合否基準は、引き続き確認が必要です。試験前に、シリコーンのロットと状態、前処理、プライマー、下塗り層/表示層の積層構成、コーティング範囲、状態調節、キー形状、通電する組立品、曝露の順序を管理してください。
| 比較項目 | PU候補の着眼点 | エポキシ候補の着眼点 | 同一条件での検証 |
|---|---|---|---|
| 曲げ/屈曲 | 弾性が重要な場合によく選ばれますが、ひび割れの発生は塗膜厚と配合にも左右されます。 | 柔軟型または強靱化型であることが明確な系を使用します。一般的なエポキシが屈曲に追従すると考えないでください。 | 実際のキーを繰り返し動作させ、上面、R部、側壁、表示端部にひび割れ、白化、端部の浮き、層間剥離がないか確認します。 |
| 触感 | 滑らかで光沢のある仕上げから、ソフトタッチや滑り抵抗の小さい仕上げまで、配合によって調整できます。 | 局所的な盛り上げ層は硬く感じられたり、段差が指で分かったりする場合があります。柔軟グレードでは挙動が異なる可能性があります。 | 摩耗・清掃の前後で、べたつき、滑り抵抗、スティックスリップ、摩耗による磨き込み、端部の触感を比較します。 |
| 清掃/液体 | 耐性はPUの化学構造と架橋状態によって変わります。 | 耐性は樹脂、硬化剤、硬化条件、液体によって変わります。 | 実際に使用する洗浄剤、消毒剤、油、その他の申告された液体を用い、軟化、膨潤、変色、光沢変化、べたつき、密着性低下を記録します。 |
| 光沢/外観 | つや消し、半つや、光沢の方向で仕上げを設定できます。 | 光沢のある外観を得るために透明なキートップ用の系を選ぶことはありますが、化学系統の名称だけでは光沢は保証されません。 | 形状上可能な場合は同時処理試験片を用い、成形キーは外観の限度見本に基づいて承認します。 |
| 光学特性/バックライト | テクスチャー、塗膜厚、硬化条件によって、透過、ヘイズ、グレア、表示コントラストが変わる場合があります。 | 局所的な厚い層は反射を変える可能性があり、点灯時に気泡や端部形状が見える場合があります。 | 同じ組立品を通電し、LED駆動条件、周囲光、観察角度をそろえて比較します。 |
| 密着性 | シリコーンの前処理、プライマー、下塗り層、硬化条件に大きく左右されます。 | 同じ要因が影響します。さらに、剛性の高い塗膜では端部に応力が集中する場合があります。 | 実際の積層構成に対して合意した密着性スクリーニングを行い、破壊が生じた面を記録し、屈曲と薬品曝露の後に再評価します。 |
| 摩耗/磨き込み | 柔軟な塗膜は、ひび割れがなくても磨き込まれたり、光沢が変わったりする場合があります。 | 硬い表面は一部の傷に耐えても、ひずみが集中するとひび割れや欠けが生じる可能性があります。 | 実使用に即した手や指による摩耗と、関連する汚染を組み合わせます。同じ箇所を撮影し、サンプルを保管してください。 |
結果を比較できるのは、試験条件も比較可能な場合に限られます。二つの系で異なるプライマーや塗膜厚が必要な場合は、その違いを「PU」「エポキシ」という名称の背後に隠さず、承認された構成の一部として記録してください。
5. 相互作用が分かる順序で摩耗と薬品曝露を試験する
相互作用による影響を把握できる順序を使用します。
- 初期の外観、光沢、触感、密着性の評価と通電状態での検査。
- 代表的なキーの屈曲または操作。
- 実使用に即した摩擦・摩耗。
- 申告された液体または洗浄剤への曝露。
- 定義された回復期間・状態調節。
- 外観、光学特性、密着性、機械特性の再確認。
IEC 60068-2-70は、指や手による摩擦で生じるマーキングや文字の摩耗に関する標準試験方法を示しており、操作部やキーボードの表面も対象としています。4 IEC 60068-2-74は、液体汚染に関する試験の枠組みを示し、掲載されたすべての液体を適用するのではなく、該当する仕様に応じて関連する液体と厳しさを選ぶとしています。5
ASTM D1308も、変色、光沢変化、膨れ、軟化、膨潤、密着性低下などを評価するうえで有用なコーティング関連の参考規格です。6 連続した塗膜を要求するため、あらゆるキーパッド形状にそのまま当てはめるべきではありません。
密着性についてはASTM D3359がよく知られていますが、その適用範囲は金属基材上の比較的延性のある塗膜です。非金属への適用については精度データが限られていることが示されており、接合部が破断する絶対的な力を求めるものではありません。7 シリコーンキーでは、サプライヤーと合意した方法を用い、シリコーン界面、プライマー、着色層、透明コート、レーザー加工端部、または塗膜内の凝集破壊のどこで破壊が生じたかを記録してください。
すべての製品に共通する繰り返し回数、洗浄剤の接触時間、合否基準を根拠なく設定しないでください。これらの値は、製品の使用負荷と承認されたコーティング系に基づいて決める必要があります。
6. 限度見本で承認済みの仕上げを確認する
単一の数値では表しにくい外観や触感の条件については、管理された実物サンプルを保管します。対象には次の項目が含まれます。
- つや消し/半つや/光沢の許容範囲。
- 目視で分かるテクスチャー変化の上限。
- 局所的なエポキシ端部の許容高さと滑らかさ。
- 許容できないべたつきやスティックスリップ。
- 摩耗後に許容する傷や磨き込みの程度。
- 許容できないひび割れ、白化、気泡、ピンホール、端部の浮き。
- バックライト点灯時のヘイズ、グレア、光漏れの許容範囲。
承認資料には、キーパッドの改訂番号、シリコーンの状態、前処理工程、コーティング製品とその改訂番号、プライマー、コーティング範囲、成膜方法、硬化条件、加飾層の積層構成、試験順序、保管サンプルの識別情報を明記する必要があります。
配合、硬化剤、プライマー、硬化条件、その他の重要な界面に変更があれば、管理対象の変更として扱ってください。「同じPUのまま」「同じエポキシのまま」というだけでは、同等性の証明にはなりません。
よくある質問
シリコーンゴムキーパッドでは、PUは常にエポキシより優れていますか?
いいえ。PUは柔軟性や触感の調整を目的としてよく評価されますが、結果を決めるのは具体的な配合、プライマー、塗膜厚、硬化条件、形状です。必要な屈曲、摩耗、清掃、外観の基準を満たすなら、プロジェクト固有のエポキシの方が適した仕上げになる場合があります。
エポキシコーティングは常に硬くてもろいのですか?
いいえ。柔軟型や強靱化型のエポキシ系もあります。サプライヤーには、実際の樹脂/硬化剤の組み合わせを明示し、想定する塗膜と基材に関連するデータを提示してもらう必要があります。
コーティングによってキーパッドの触感や操作力は変わりますか?
はい。指の滑り抵抗を直接変える可能性があります。また、曲げR部の近くに厚い層や剛性の高い層があると、変形に影響する場合があります。コーティングの機械的な影響が大きい場合は、量産仕様を想定した仕上げ済みのキーで、荷重-変位特性を再確認してください。
耐薬品性の一覧表だけで選定できますか?
いいえ。コーティングした剛性板のデータでは、シリコーン上の密着性、屈曲時の挙動、光学特性は証明できません。サプライヤーのデータで候補を絞り込んだうえで、実際の液体と形状を用いてキーパッドの積層構成全体を試験してください。
バックライト付きキーパッドには、どちらのコーティングが適していますか?
光学的な積層構成全体で判断してください。仕上げは表面を保護しつつ、許容できないヘイズ、グレア、色の変化、光漏れ、レーザー加工端部の弱さを生じさせないことが必要です。積層構成全体については、JASPERのシリコーンゴムキーパッドのレーザー加工表示と保護コーティングのガイドをご覧ください。
エポキシのキートップは、プラスチック製キーキャップと同じですか?
いいえ。エポキシのキートップは、塗布して硬化させた樹脂部です。プラスチック製キーキャップは独立した成形部品であり、固定、金型、荷重伝達経路について異なる検討が必要です。
キーパッドの図柄データと仕上げをレビューする
現行のキーパッド図面またはサンプル、2D/3Dのキー形状、コーティング範囲の要件、図柄データ、希望するテクスチャーと光沢、昼夜の外観、バックライトがある場合のLED/PCB情報、想定する洗浄剤と汚染物、使用頻度の高いキー、数量、既存のPUまたはエポキシのサンプルをお送りください。未確定の項目はTBD(未確定)と記載できます。
シリコーンゴムキーパッドの製品群をご覧いただくか、キーパッドの技術レビューをご依頼ください。
プロジェクトを始めませんか?
メンブレンスイッチ、キーパッド、グラフィックオーバーレイの要件をお知らせください。当社の技術チームが仕様を確認し、詳細な見積もりを提示します。



